今回は「母乳育児を成功させるための10か条」のお話です。
「幸先が良い、出だし好調」なんて耳にしますよね。
母乳育児がうまく始められると育児そのものに自信が沸いたり、育児をもっと楽しめる余裕がうまれてくると思います。そんな気持ちの面だけではなく、出産直後のいままさに母乳育児スタート!って時がじつは科学的にもとても大切なんです。
「母乳育児を成功させるための10ヵ条」というユニセフ・WHOガイドラインをふまえながら、経験談をまじえて具体的なところをご紹介します。
パッと読むための目次
母乳育児を成功させるには
私の経験談を熱く語ってもケースバイケースだよ、とつぶやかれそうなので、まずは公表されている「ユニセフ・WHOの母乳育児を成功させるための10ヵ条(1989年)」をみてみましょう。
- 母乳育児の方針を全ての医療に関わっている人に、常に知らせること
- 全ての医療従事者に母乳育児をするために必要な知識と技術を教えること
- 全ての妊婦に母乳育児の良い点とその方法を良く知らせること
- 母親が分娩後30分以内に母乳を飲ませられるように援助をすること
- 母親に授乳の指導を充分にし、もし、赤ちゃんから離れることがあっても母乳の分泌を維持する方法を教えてあげること
- 医学的な必要がないのに母乳以外のもの水分、糖水、人工乳を与えないこと
- 母子同室にすること。赤ちゃんと母親が1日中24時間、一緒にいられるようにすること
- 赤ちゃんが欲しがるときは、欲しがるままの授乳をすすめること
- 母乳を飲んでいる赤ちゃんにゴムの乳首やおしゃぶりを与えないこと
- 母乳育児のための支援グル−プ作って援助し、退院する母親に、このようなグル−プを紹介すること
ママとして実践できるものは主に4、6、7、8、9条の5つです。
ほかは、産院や総合病院など産む環境によって大なり小なり度合いが異なってきます。産院を選ぶ際に「赤ちゃんにやさしい病院*1」という視点を加えてもいいかもしれません。
母乳育児を成功させるためにママができること
ママとして実践できそうな5つについて一つずつみていきましょう。
◆4.母親が分娩後30分以内に母乳を飲ませられるように援助をする
赤ちゃんは、分娩直後の30分~2時間はしっかり目覚めた状態で意識もはっきりしています。
いわゆるカンガルーケアとよばれるものですが、ママの胸に抱かれる感触や母乳を飲む感触、味・においなどを赤ちゃんにインプットさせているんですね。
私の場合、出産直後で意識が朦朧とするなか1時間近く抱っこしていましたが、自分からおっぱいを探しだして吸い付く姿にはびっくりしつつも、ヒトの能力ってすごいな、なんて思ったりしました。
カンガルーケアに対応した環境で産むのであれば、カンガルーケアをされることをおすすめします。
◆6.医学的な必要がないのに母乳以外のもの水分、糖水、人工乳を与えない
母乳が量的に分泌するようになるまでは2~3日かかるのですが、赤ちゃんは栄養を蓄えた状態で産まれてくるため、母乳以外の栄養は必要ありません。(体重減少や脱水、発熱等がある場合は、医学的に糖水やミルクの追加が必要となることがあります。)
私の場合、1日目、2日目は5ccというスズメの涙かと見紛う状況で焦ったりもしましたが、助産師さんの「大丈夫よ」の声に何度救われたことか・・・。
◆7.母子同室に。赤ちゃんと母親が1日中いっしょにいられるようにする
ママと赤ちゃんが24時間一緒にいることで、お互いが情緒的に安心したり、赤ちゃんとの生活に慣れ、退院後の育児もスムーズになります。赤ちゃんがおっぱいを欲しがったらすぐに授乳できます。
私の場合、出産した翌日から退院するまで終日母子同室(個室)でした。
出産ハイなのか、情緒的に安心というよりもむしろ真逆、息しているか気になり眠れませんでした。そんなケースもあるということで・・・。
◆8.赤ちゃんが欲しがるときは、欲しがるままの授乳をすすめる
出産直後から1日10~12回以上頻繁に授乳し、赤ちゃんが乳首を吸う刺激が脳へと伝わり母乳を作るホルモンが分泌されます。結果、比較的早期に母乳分泌がよくなります。また、子宮を収縮させるホルモンも分泌され、大きくなった子宮を妊娠前の子宮の状態に戻します。
私の場合、母乳がでていなくとも頻回授乳をし続けたことがよかったのか、子宮の戻りが早かったようです。
◆9.母乳を飲んでいる赤ちゃんにゴムの乳首やおしゃぶりを与えない
赤ちゃんは自分が飲むべき乳首をきめています。出産直後からママの乳首の感覚に慣れ親しんでいるのにゴムの乳首を与えられると赤ちゃんは混乱してしまいます。
まとめ
WHO・ユニセフの「母乳育児を成功させるための10ヵ条」について経験談をまじえてお伝えしました。
日本母乳の会によるとこの10か条を長期にわたって守り実践する産科施設を「赤ちゃんにやさしい病院」として認定されているとのこと。2015年8月現在では72施設が認定されています。
私は里帰り出産でして、実家近くの母乳育児を推奨する個人病院で出産しました。
決めるまではNICUなどの設備がある産婦人科専門医院や総合病院とも迷ったりもしたのものです。
最終的には、母乳育児を推奨されているだけあり、出産前の母乳育児講習や出産後の母乳外来なども対応されている点にひかれ決めた感じです。
母乳育児をしたいママの場合には、この10か条をふまえて産婦人科選びの基準のひとつとしてみてはいかがでしょうか。